心が打ちひしがれてもその根底には日常がある

短編小説のようで、実は全ての話が一つの線で結ばれている作品を読みました。戦後の混沌とした中で生きる家族を描いた物語ですが、客観的にかつ冷静に物事を見つめており、現代における家族を描いているような気分にもなる、一風変わった小説でした。
作品の中では日常の暮らしが事細かに描かれていましたが、父の失踪と死やその背景にある内縁の妻の存在など、複雑に入り組んだストーリーが展開されていました。エモーショナルに心情を描いた文章ではないため、知られざる真実を目の前にしても「そうだったんだ」と妙に納得してしまうところが、この小説の面白いところだと感じました。
私達は力を抜いたり、意気込んでみたり、切なくなって涙を流すことなど、心と感情が交錯しながら暮らしているような気がします。またどんなに平常心を装おうとも、悲しみや喜びに一喜一憂するのが現実だと思うのです。この作品は不条理な現実や深い悲しみに襲われたことを描く時、必ずと言っていいほどその背景が表現されています。例えば夕飯の食卓に並んだ豚肉の匂いやその時着ていた洋服の色など。それらのことからは、どんなことがあっても、日常がしっかりと根付いていることを知る事ができます。それは特異なことに思えるかもしれませんが、心にドスンとくるような重大な出来事を思い出す時には、意外とその時感じた匂いや風景などが頭をよぎるのかもしれません。こうしたことを考えると、この小説はリアリティと人の常が鮮明に書かれていることを改めて気付かされたのでした。

チャーミングでハートウォーミングな映画はいいものです

住人が留守の間、ペットがどんなことをして過ごしているのか気になるものです。動物好きな人であれば、猫や犬がどういう気持ちで暮らしているのか想像することもあるかもしれません。先日観た映画は、ペット達が主人公のチャーミングでちょっとドキドキした非日常を描いた作品でした。飼い主に従順な犬、食べることが大好きな太っちょな猫ちゃん、マッチョな男性が心から可愛がっている小鳥、みんなその家に暮らす人々が留守の間は、同じアパートメントに暮らす動物達と仲睦まじい時間を過ごしています。でもささやかなハプニングをきっかけに、大都市を舞台にした大冒険に繰り出すことになったのです。フィクションと分かっていながらもハラハラドキドキで、少々悪そうなギャング軍団のような動物が登場したりもしながら、軽快に物語は進んでゆきました。
この映画を観た時、私は少々元気がなくて落ち込み気味だったのですが、鑑賞後はとっても元気で爽快な気分になったものです。またペット達がみんな嬉しそうに飼い主の帰りを玄関に出迎える姿がまたキュートで、帰れる場所があるってなんて素敵なのだろうと感じたのでした。私もこんな風に「笑いと愛がある時間を過ごしてゆきたい」という小さな願望を胸にしながらも、日々の生活を忙しなく過ぎてゆくことを実感しています。

恋愛に必要なのは気力と体力だと思う

「モテる」ということは罪なこと。
それは男性から熱烈なアプローチを受けたことがない私が、先日読んだ漫画から抱いたことです。ヒロインは仕事ができて、仁義を通すことができる筋の通った二人の男から求愛を受けております。「あー羨ましい」そんな気持ちが起こり、その思いが沸騰するかのごとく溢れかえった時、ふとあることに気付きました。それは「他者から好意を受けるということは、嫉妬や裏切りの標的となり深く傷つくことも多々ある」ということです。なぜならば、ヒロインの心が揺れ動くなかで、関係をこじらせてしまい思いつめた婚約者からひどい裏切りを受けたからです。その出来事は後に非常にドラマチックな展開を見せるのですが、もし私がその裏切りを受けてしまったら、一生立ち直ることの出来ないと強く感じました。しかしながらそこからもう一人の男性がヒロインの傷を受け止め、次第に二人の仲が深まってゆくというストーリーに憧れの念をも抱いたものです。そして恋愛とは体力と気力が必要なことを、改めて知ったのでした。
恋愛せずにパワーを温存している方が楽だと思ってしまうこともありますが、愛することは人生に必要なものです。誰かと寄り添い、お互いの足らないものを助け合いながら埋めてゆく。こうしたことを学ぶことができるのは愛することの特権でもあり、その気持ちを大切に紡ぐことで開けてゆくことはたくさんあると思うのでした。

意味を求めず作品の世界観を楽しむ

日々の生活において、全ての事柄をはっきりさせたいと思いながら生きている節があることに気付きました。問題を解決したいがために、白黒はっきりさせるような答えを出したいと意気込んでいる自分に、ちょっとした嫌悪感を抱いたのでした。
先日、満員電車の中である小説を読んでいました。この作品は幻想的で想像力を掻き立てられる物語です。長編小説なのですが、一つのストーリーに一人の登場人物を主役とした短編作品から構成されていて、エンディングには全ての話が結び付くような作品でした。人がひしめき合う電車の中で淡々と読んでいまいしたがどこか心が疲れていたようで、小説の意味を知りたいとがむしゃらになっていたのでした。そんな殺伐とした気持ちに気付いた時、意味なんて分からなくてもよいのではないかとふと思いました。その物語の世界に酔いしれてふんわりと全体像を知ることも読書の楽しみ方なのではないかと感じました。同時に私の心の奥底にある白黒はっきりさせようと意気込む気持ちに妙な違和感を覚えました。全てに意味を求めて答えを出すことも一つの考え方ですが、こんつめて物事を考えなくてもよいのではないかと感じました。
気持ちにゆとりを持って暮らすことは現代社会ではかなり大変なことかもしれませんが、意気込まずマイペースに幸せを求めることも悪くありません。この小説が忘れかけていた大切なことを思い出させてくれたことは、今でも心の中に深く刻まれています。

決してあなどれない呼吸のこと

人の寿命は呼吸の回数で決まるというお話を知人の女性から聞いたことがあります。人は息を吸って吐く数が生まれながらに決まっているようで、それを使い果たしてしまうことで、命の終りが訪れそうです。この話を聞いた時、私は妙に納得したのでした。
いつも緊張感にさいなまれていると、心拍数が上がり、頭に上手く酸素が行き渡らないものです。逆にどんな状況でも新鮮な空気を体中に送りこむことで、心は落ち着き頭の中もクリアになると感じます。これは一つの仮説なので「絶対」ではありません。しかしながらこうしたことを頭の隅に置いておくだけで、日々の生活は潤滑に回るような気がします。
以前読んだ禅について書かれた本にも、呼吸の大切さが書かれていました。姿勢を正すことや深い呼吸をすることで、私達の心の在り方も変わってくることを知り、非常によい勉強になりました。また臓器や筋肉はいつも健全に働くことが当たり前だと思っていましたが、しっかりと労り今こうして生きていることに感謝することを学んだものです。
気持ちに余裕が無い時こそ、肺をフル活用して息を送ることでモチベーションや思考は少しよい方向に変わるのではないでしょうか。知人から聞いた話や以前読んだ書籍を胸に、生命に密接に関わる体の働きに耳を傾けながら日々を過ごしてみようと思いました。こうした心意気は思考の変化だけではなく、自らの体を大切にする気持ちを改めて知ることにも繋がると感じています。

サーカスに憧れて

私はサーカス団員になりたいと子供の頃、思ったことがあります。空中ブランコ、トラと一緒に芸をする猛獣使い。子供の頃の私にはとても魅力的な職業だったのです。また年を重ねてからは旅をしながら仕事ができるところに憧れを抱いたりもしています。そして今でも身一つで観客に夢を与えられるなんて、こんな素敵なことはないと思い続けています。そんな若かりし頃の夢がふと頭によぎったのは、芸術とサーカスについて書かれた本を読んだからです。その書籍には私が幼い頃に出会ったものとはまた違う魅力が書かれており、少々驚いたことは言うまでもありません。肉体美と芸を融合させ美術的な舞台演出を加えた興行からは、まるで今いるところとは違う世界へ導いてくれる非現実性すら感じました。また世界中で活躍する団体の紹介を読んでいると、彼らパフォーマンスを生きているうちに一度は体感してみたいと思ったものです。さてこの本を読んでいたら、以前から気になるアーティスト集団が頭をよぎりました。彼らは、馬と人が魅せる芸術性高いサーカスをおこなうそうで、テーマに沿った動物と人が織り成すクオリティ高い演出を一度観たいと考えています。高級感漂うイベントのようなので、もし鑑賞する機会があればその時は素敵なお洋服に身を包んで会場を訪れてみようと、さやかな夢を抱いているのでした。

社長が書いた半生には学ぶことがたくさんある

以前から起業家について知りたいと思っていました。会社のトップに立ち、従業員を引っ張ってゆく者の考え方や人生論、ポリシーはとても気になります。自分にないとてつもないパワーを持っており、カリスマ性があると思うからかもしれません。そんなことを考えていた時、友達から一冊の本をもらいました。それは若くしてIT関係の会社を起こし、今も最前線で活躍する男性の半生を振り返った手記でした。自らの今まで歩んできた道のりを時にエモーショナルに、また時には客観的に見つめており、今の私にとてもよい影響を与えてくれたように感じます。
やりたいことをがむしゃらにやることや形にしてゆくこと、そこには人並みならぬ行動力と前に進んでゆこうとする意志の強さがあると思いました。また重大な選択をする岐路に立たされた時の決断力も、トップに立つ者にとって非常に大切なことを知りました。本を読み進めてゆく中で、私自信もこれらのことを心得ていることでより広い視野が開けてゆくのではないかと思ったのでした。
会社を起こすことは決していいことばかりではありません。選択を強いられる中で、時には冷酷な決断を下さなければいけないこともあるのです。この本から野望を持つことや強い信念をもつことがいかに自らの人生を突き動かす原動力になるかを学んだ気がします。同時に優しさだけではなく物事をシビアに見る目もしっかり持ってゆきたいと思ったのでした。

パワフルな女性が書いたアメリカ滞在記は圧巻

日本から遠く離れた地で暮らす女性が書いた本を読んでいます。ニューヨークの隣の州であるニュージャージーでの暮らしを書いたもので、今から20年程前に書かれた作品です。
憧れの地であるニューヨークに2ヶ月間単身で滞在した後、日本に帰国してから事業を起こして、ライターとしての仕事をするためニュージャージーに渡り全力で様々なことにぶち当たりながら楽しむことを忘れない著者の姿は圧巻です。「考えるよりまず行動」を胸にいつでも真っ向勝負なところが勇ましくて、潔いからでしょうか。そして何よりも明るい性格と才能とも言えるコミュニケーション能力を持ち、遥か遠いアメリカの地で独自のコミュニティを切り開いてゆくところは素晴らしいと思いました。決して治安が良いとはいえない地域に住んでいたため泥棒に入られそうになったり、アパートメントで火事が起きたりと様々なハプニングが起こります。しかしながら周囲の力を借りつつ自らのバイタリティでこうした苦境を乗り越えてゆくことは、誰でもできることではないと思うのでした。そこには持って生まれた生きる力と成長過程で培われてきた何事にも屈しない人格があるのだと感じたのです。
「海外で暮らしたい」と夢見て色々な書籍を読んできましたが、これほどまでに強く逞しい女性に出会ったことは今までは無かったような気がします。そんな著者を見習いつつ、日本での生活を私なりに楽しめたらと思うのでした。

『ロス』ということ

人は自分の大事なものを失ったときには、心にポカンと穴が開いたように感じるものです。それを最近では『○○ロス』と呼んでいます。以前、『ペットロス』について書かれた本を読んだことがあります。家族の一員とし生活してきたペットの『死』が人を無気力にしてしまうというものです。これは本当にわかります。私もワンコを飼っていますけど、いずれ訪れる別れの事を考えると、胸が痛くなります。もうすぐ14歳になるから、その日が数年後にはやってくるんだと思うと、なんとも言えない気持ちです。
今までテレビや雑誌で、芸能人の結婚や引退によってファンの人たちが気力を失ってしまうということを耳にしたことがあります。まさに『○○ロス』と呼ばれていました。でも、ちょっと大げさなんじゃないの?って思っていたんです。自分の身内や恋人じゃないんだから、そんなに落ち込むなんて……と。それなのに、先日、ある芸能人が引退してしまった時に、自分でも信じられない心境になったんです。翌日、仕事に行ってもなぜか気が乗らないんです。気持ちが常にどんよりしているとでも言えばいいのかな。「どうした? 私」といった気分です。そして、ふと思ったんです。これって『ロス』じゃないの?って。自分としてはそんなに熱烈なファンのつもりはなかったのにビックリです。私でさえこんな気持ちになるんだから、熱狂的なファンの人達の気持ちがわかるというものです。だったら私は「ワンコとの毎日を本当に大事にしなくっちゃ」とつくづく思うのです。

日々の趣を肌で感じる事

数日前から読んでいる長編小説は、時間がとてもゆっくりと流れるしっとりとした物語です。主人公の女性は中古の着物屋を一人で経営しており、凛としていて暮らしの中にある自然の変化を感じることが出来る趣ある素敵な女性です。彼女が自らユニホームと称する着物を上手に着こなしているところは非常に粋だと感じています。またヒロインが住んでいるところは私が以前から一度は訪れてみたい昭和の名残が残る街でもあります。その街にあるレトロなカフェ、おでん屋などはどれも魅力的で美味しそうな食べ物が多々登場するためか、お腹が空いてしまうこともしばしばです。先日老舗和菓子屋さんのお菓子が綴られているページを読んでいた時私も甘いものが食べたくなり、近所のおばあちゃんが経営する和菓子屋へ行き、すあまを購入してペロリと平らげたのでした。
色々なジャンルの小説を読みますがこのようなホッコリとした作品を欲することも多く、このような作品から四季折々の変化やそれに伴う食べ物、街の風景など再発見することが多々あるものです。そしてこうした日々の何気ない変化の中で綴られる家族や恋人との関係を読んでいると、季節と同じく暮らしもまた巡ってゆくものなのだと思えるようになりました。私もこの小説の主人公のように、しっとりと日本的情緒を肌で感じる事のできる女性でありたいものです。