『ロス』ということ

人は自分の大事なものを失ったときには、心にポカンと穴が開いたように感じるものです。それを最近では『○○ロス』と呼んでいます。以前、『ペットロス』について書かれた本を読んだことがあります。家族の一員とし生活してきたペットの『死』が人を無気力にしてしまうというものです。これは本当にわかります。私もワンコを飼っていますけど、いずれ訪れる別れの事を考えると、胸が痛くなります。もうすぐ14歳になるから、その日が数年後にはやってくるんだと思うと、なんとも言えない気持ちです。
今までテレビや雑誌で、芸能人の結婚や引退によってファンの人たちが気力を失ってしまうということを耳にしたことがあります。まさに『○○ロス』と呼ばれていました。でも、ちょっと大げさなんじゃないの?って思っていたんです。自分の身内や恋人じゃないんだから、そんなに落ち込むなんて……と。それなのに、先日、ある芸能人が引退してしまった時に、自分でも信じられない心境になったんです。翌日、仕事に行ってもなぜか気が乗らないんです。気持ちが常にどんよりしているとでも言えばいいのかな。「どうした? 私」といった気分です。そして、ふと思ったんです。これって『ロス』じゃないの?って。自分としてはそんなに熱烈なファンのつもりはなかったのにビックリです。私でさえこんな気持ちになるんだから、熱狂的なファンの人達の気持ちがわかるというものです。だったら私は「ワンコとの毎日を本当に大事にしなくっちゃ」とつくづく思うのです。