そそっかしんだから

先日、ものすごく久しぶりに転びました。それも駅の階段でときてますから、恥ずかしいのなんのって。けど、今、思ってもどうして転んだのかがわかりません。どうなったのかもわからないんです。駅の階段を下りながら、実は今読んでる小説の舞台について考えていたんです。モデルになっている町について。その町には過去に一度だけ行ったことがあるはずだけど、なかなかその光景を思い出せなくて……自分が行ったときのことを考えていたんです。そしたら、突然、足をすくわれたという印象で尻もちをついてしまったんです。階段と階段の間に少し広くなっているステップのところに。そこでなければ、下まで転げ落ちていたかもしれません。まさに不幸中の幸いです。けど、足首が痛くて立てなかったんです。でも、なとか立ち上がって右足を引きずりながら手すりのところまで進みました。捻挫したのか右の足首がジンジンしていました。尻もちをついた瞬間、隣を歩いていた女性が「大丈夫?」と声をかけてくれたけど、それだけでした。まあ、大したことじゃないから当たり前なんだけど、こういう場面って小説では誰かが起こしてくれたりするんじゃないの? 「大丈夫ですか」って素敵な男性が手を貸してくれるとか。手すりにつかまって、右足を引きずりながら残りの階段を下りる私って、我ながら情けなくなりました。歩きながらの考え事は要注意です。