意味を求めず作品の世界観を楽しむ

日々の生活において、全ての事柄をはっきりさせたいと思いながら生きている節があることに気付きました。問題を解決したいがために、白黒はっきりさせるような答えを出したいと意気込んでいる自分に、ちょっとした嫌悪感を抱いたのでした。
先日、満員電車の中である小説を読んでいました。この作品は幻想的で想像力を掻き立てられる物語です。長編小説なのですが、一つのストーリーに一人の登場人物を主役とした短編作品から構成されていて、エンディングには全ての話が結び付くような作品でした。人がひしめき合う電車の中で淡々と読んでいまいしたがどこか心が疲れていたようで、小説の意味を知りたいとがむしゃらになっていたのでした。そんな殺伐とした気持ちに気付いた時、意味なんて分からなくてもよいのではないかとふと思いました。その物語の世界に酔いしれてふんわりと全体像を知ることも読書の楽しみ方なのではないかと感じました。同時に私の心の奥底にある白黒はっきりさせようと意気込む気持ちに妙な違和感を覚えました。全てに意味を求めて答えを出すことも一つの考え方ですが、こんつめて物事を考えなくてもよいのではないかと感じました。
気持ちにゆとりを持って暮らすことは現代社会ではかなり大変なことかもしれませんが、意気込まずマイペースに幸せを求めることも悪くありません。この小説が忘れかけていた大切なことを思い出させてくれたことは、今でも心の中に深く刻まれています。